畜産では、早く成長させてすぐに出荷すればコスト削減できます。
例えば、一般的に流通する国産鶏肉は、通常よりも早く成長させすぐに出荷できるように育てられた”ブロイラー”と呼ばれる鶏です。スーパーで100g120円以下と安く販売できるのは、高カロリー飼料などで生育期間短縮によるコストカットの結果です。
一方、価格が高い”地鶏”は、ブロイラーよりも成長日数が長いことが規格として明確に定められています。
残念ながら豚肉にはブロイラーと地鶏のような明確な基準がなく、食べているものや生育期間は関係なくブランド豚を名乗ることができます。
とんきいでは、ブロイラーのような短期間での成長を優先した育て方や、高カロリーで栄養バランスに欠ける飼料は一切使用しておりません。
一般的に安く流通する豚肉は、配合飼料を食べて育ちますが、とんきいの豚はみんな自家配合飼料を食べて育っています。
配合飼料とは、飼料メーカーが作る飼料のこと。
自家配合飼料とは、自分たちで原材料を組み合わせて作る飼料のことです。
とんきいの自家配合飼料づくりでは、大切にしていることがあります。
小さなお子さんでも安心して食べてほしい。
豚肉本来の自然なおいしさを最大限に引き出したい。
そんな思いから、飼料には以下のものは使いません。
添加物を入れていないから、作り置きはできません。
牛、豚、鶏の肉骨紛等は安価なので、コスト削減ができますが、豚に牛や鶏、ましてや豚の肉や骨を与えることで豚の味が良くなるとは思えず、倫理的にも受け入れられません。
手間も費用もかかりますが、自信をもって安心安全をお届けするためには決して妥協できないポイントです。
高カロリー飼料を与えれば、生育期間が短くなりコスト削減できますが、こうした飼料には動植物由来の油脂が添加されています。
急速に太らせると豚の体に負担がかかり、健康的な状態とは言えません。
また、油脂添加飼料で育った豚肉は脂っぽさや重たい後味が残り、食後にもたれるなど本来のうまみが損なわれてしまいます。
高カロリー飼料で無理に太らせることは豚の健康にも味にも悪影響と考えています。
油脂を添加しない飼料を与えて自然な成長を促すことで、もたれやくどさのない、豚肉本来の甘みやうまみを存分に楽しんでいただける上質な豚肉になります。
妊娠中、授乳中、子豚離乳後、成長期など、豚の成育段階で必要な栄養バランスは異なります。
例えば、子豚の成長期は健康的に育てるためにたくさんの栄養素が必要です。穀物のほか、脱脂粉乳、魚粉、きなこ、麺の切れ端などいろんな素材を取り入れ、カロリーや栄養素を計算して配合飼料を作り、与えています。
養豚業50年の経験から培った独自の計算方法で栄養バランスやカロリーを算出。
日々、豚の健康状態を確認しながら飼料の改良を重ねています。
子豚から成豚になったら、食べるものが味の決め手になります。
自家配合飼料の主な原材料
とうもろこしは、実はもちろん皮にも栄養がたっぷり含まれています。
素材の栄養を丸ごと与える「ホールフーズ」の考えを取り入れ、皮つきのまま仕入れて粉砕しています。
お米は、契約農家さんが農薬を一切使わずに育てたもの。
大豆は、大豆油を搾った大豆のかす。大豆油はスーパーなどでも流通しているもので、 人間が食べるものと同じ大豆を使っています。
とうもろこしのリノール酸、お米のオレイン酸はうまみ成分の一種。
穀物が多くうまみ成分がたっぷりの飼料を食べて育った豚は、口に入れた時の脂の甘味やくちどけがよく、しつこさがなくもたれない豚肉になります。
とんきいの自家配合飼料は東名畜販協同組合という配合飼料工場で作っています。
工場は、とんきい代表の鈴木芳雄が代表理事を務めおり、稼働状況など定期的なチェックを行っています。
エコフィード認証を取得しており、子豚用飼料に製麺くず(製麺所などで麺を裁断したときに出る切れ端)を使っています。
※成長した豚用の飼料には製麵くずは使いません。
近年はアニマルウェルフェアに力を入れており、一部の母豚をフリーストールで飼育しています。
フリーストールとは、囲いに閉じ込めず、自由に動き回れる飼育方法のこと。
のびのびと自由に動けるためストレスが軽減され、母豚が健康な子豚を育てられる身体状態になり、生まれてくる子豚の肉質にも良い効果があります。
フリーストールは、従来よりも広い土地が必要で管理の手間も増えることから、実施している県内業者はまだまだ少ないのが現状です。
命をいただく仕事だからこそ、動物福祉を大切にしたいと考えています。
豚舎はこまめな温度管理をしていますが、体温調整度合は個体差があります。
豚は汗腺が発達していないため、自分で体温を下げるのが難しい動物です。暑い夏など、体に泥をつけ泥が蒸発すると体温を下げることができます。
写真の豚たちが泥んこになっているのは、こうした習性を尊重しているためです。
また、群れで過ごす豚のために豚舎の区切り間隔を調整し、豚がのびのび健康的に育つ環境を作っています。
豚の健康のため、月2回獣医師による衛生管理も行っています。
とんきいの豚の様子はInstagramでもご覧いただけます。